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[コロナ禍の8・6] 平和を願い米から証言 「苦しみを知った」児童呼応 広島大付属小とオンライン交流

 在米被爆者らでつくる「米国広島・長崎原爆被爆者協会」(ASA)のメンバーと広島大付属小(広島市南区)6年生をオンラインで結んで3日、被爆証言会が開かれた。広島で被爆した4人が、海の向こうの古里の子どもたちに平和への思いを伝えた。

 児童64人が集まった広島大付属中高の講堂や、ASAメンバーの自宅など計9カ所をテレビ会議システムでつないだ。旧制広島一中(現国泰寺高)の3年の時に学徒動員先で被爆した更科洵爾(じゅんじ)会長(91)=カリフォルニア州=たちが、児童からの質問に答えながら体験を語った。

 更科さんは、原爆投下後に大やけどを負った一中の下級生に遭遇した時を振り返り「顔が分からないほど熱線に焼かれ、助けようとすると手の皮膚がずり落ちた。忘れられません」と振り返った。清野みどりさん(79)は「日本から離れた米国で、助け合いながら、健康不安などと向き合ってきました」と語り掛けた。

 児童は、更科さんの体験手記を読んだり証言ビデオを見たりして、この日のために事前学習した。山根瞬さん(11)は「米国に住んでいる被爆者の苦しみを初めて知った。平和のために行動したい」と話していた。

 ASAは、県医師会が2年に1回派遣する被爆者健診を受け入れる現地窓口を担う。会員は現在約170人。数人で証言活動をしているが、高齢化や米国内の政治情勢が影響し、年々難しくなっているという。

 4人にとって、広島に向けて体験を語ったのは初めて。更科さんは「広島の子どもたちは頼もしい。核なき世界を求める米国の被爆者の思いも、次世代に受け継いでほしい」と喜んだ。

 被爆証言会は、ハワイ州の若者を広島に受け入れた「嘉屋日米交流基金」の歩みをたどる企画の一環。市民有志が実行委員会を結成して開催した。(新山京子)

(2020年8月4日朝刊掲載)

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