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[ヒロシマの空白 被爆75年] 投下前の写真3000枚寄贈 理髪店主ら撮影 資料館が整理

 被爆前の広島の街や市民生活などを記録した写真3千枚以上が原爆資料館(広島市中区)に寄贈された。現在の中区の本通り商店街の近くで理髪店を営み、被爆死した鈴木六郎さんが残していた。資料館は、原爆で壊滅させられる前の広島の姿を伝える貴重な資料として整理を進めている。

 1920年代前半から40年代前半にかけて、本通り商店街など市内の繁華街をはじめ、広島県産業奨励館(現中区の原爆ドーム)、広島駅、広島城などで、家族や市民の姿を表情豊かに撮った。大半はカメラが趣味だった六郎さんの撮影。多くはアルバムに撮影日や場所を記してあった。

 六郎さんと妻子の家族6人は、米国の原爆投下で一家全滅した。写真は、おいの鈴木恒昭さん(88)=広島県府中町=が保管していた。2014年に一部の写真データを資料館に提供したが、将来への保存を願って今回、プリントの全てを資料館へ託した。(水川恭輔)

(2020年8月5日朝刊掲載)

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