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「断念 心からお願い」野党通じ原告団 「黒い雨」訴訟

 広島原爆の「黒い雨」訴訟で原告84人全員を被爆者と認めた広島地裁判決を受け、原告団と弁護団は4日、控訴断念を求める申し入れ書を、立憲民主党や国民民主党などでつくる野党共同会派を通じて厚生労働省に提出した。

 原告団と弁護団は広島市中区の広島弁護士会館からビデオ会議システムをつなぎ、共同会派が国会内で開いた厚生労働合同部会に参加。原告団の高野正明団長が「私たちは長く援護対象区域の拡大を求めてきた。国には控訴断念を心からお願いしたい」と訴えた。

 事前に共同会派へ託した申し入れ書は加藤勝信厚労相(岡山5区)宛てで、「被爆75年を迎え、高齢化が進む原告らに残された時間はわずかしかない」と強調。控訴断念とともに、「黒い雨」を浴びた全ての人たちを早期に救済するよう求めている。

 国民民主党の森本真治氏(参院広島)が部会で広島地裁判決の概要などを説明した厚労省の担当者に、「黒い雨を浴びた人の思いに沿った判断をしてもらいたい」と話し、申し入れ書を手渡した。

 加藤厚労相はこの日の記者会見で、広島県と広島市から控訴断念を要望されていることについて「しっかり受け止める。(判断の時期は)控訴期限の12日をめどに検討する」と述べた。(河野揚)

(2020年8月5日朝刊掲載)

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