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平和宣言 学生版が完成 広島大の日米など12人 次世代へ継ぐ責任強調

 広島大のプログラム「学生ヒロシマ『平和』を考えるサミット」に参加している6カ国の12人が、学生版平和宣言となる「学生ヒロシマ宣言」を完成させた。核兵器やあらゆる差別のない世界を目指すとし、若い世代が行動する大切さを訴える内容。6日に東千田キャンパス(広島市中区)である平和企画で、代表して日米の学生2人が読み上げる。(長久豪佑)

 宣言は、核兵器廃絶を訴え続ける被爆者に敬意を示し、若者には訴えを次世代につなげる責任があると強調する。「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」をスローガンに世界へ広がる人種差別解消運動にも触れ、「変革は不可能ではない」と指摘。若者が手を取り合い、平和な世界の実現を目指すことをアピールする。

 プログラムは同大が被爆75年の節目に初めて開講。日本、米国、フランス、フィリピン、タイ、ブルガリア出身の同大の学部・大学院生12人が6月から対面やオンラインで討論を重ね、今月仕上げた。

 6日は、リーダーで米国出身の大学院国際協力研究科のアルビン・コイコイさん(26)=東広島市=が日本語版を、副リーダーの総合科学部3年神田実鈴さん(20)=同=が英語版を読み上げる。会場は一般入場ができないため、動画配信などで世界に発信する。

 昨春から広島大で学ぶ留学生のコイコイさんは「原爆投下も人種差別もベースには命の軽視がある」と話す。原爆投下国の出身である自分が広島大発の宣言を読むことで、「国境を超えた連帯を示したい。核や差別の問題に興味のない人が目を向けるきっかけになればうれしい」と意気込む。

 呉市出身の神田さんは「異なる意見や価値観を宣言にまとめていく中で、被爆地の目線を忘れないようにした。被爆者の訴えを若者が理解し、行動につなげる必要性をアピールしたい」と話している。

(2020年8月5日朝刊掲載)

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