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広島本大賞トークショー 大賞西島さん 特別賞松田さん

 広島県内の書店員やタウン誌編集者が全国に届けたい広島ゆかりの本を選ぶ広島本大賞。漫画を対象にした第3回で大賞に輝いた西島大介さん(38)=広島市西区=と、特別賞の松田洋子(ひろこ)さん(48)=東京都東村山市=の2人を招いたトークショーが広島市中区であり、作品が生まれた背景などを語った。

 受賞作は大賞が「すべてがちょっとずつ優しい世界」(講談社)、特別賞は「ママゴト」(エンターブレイン)。

 「世の中に対する僕なりの考えを誠実に描いたつもり。今までと違い、真面目に静かに声高でない作品になった」。西島さんは東日本大震災後、東京から実家のある広島市に移り住んだ。幼稚園、中学高校に続き3度目の広島暮らしだ。義父も福島第1原発から10キロ圏内の福島県富岡町から避難し、広島にいる。

 「すべて―」は、タワーレコード広島店の25周年ポスターにも採用された。「この作品によって僕自身も変わった」と振り返った。現在、震災後の心境や広島の生活をつづるエッセー漫画を月刊「SFマガジン」で連載している。

 松田さんは5歳から高校卒業まで福山市で育ち、実家もある。「東京暮らしの方が長くなった今でも、一番伝えたいことは広島弁で考えている。広島弁で漫画を描くことが楽しい」と話す。

 「ママゴト」は、スナックのママと彼女に預けられた少年が支え合って心通わす物語。悩みを抱えながらも、たくましく生きる人々の心模様と家族の絆を温かく伝える。

 「一番必要なんは一緒におることじゃけ」「この笑顔のためじゃったらなんも惜しゅうないなあ」。備後寄りの方言がふんだんに盛り込まれ、舞台は福山を思わせる。

 「広島弁はやくざ言葉のようなイメージを持たれているけれど、女性や子どもが使うとかわいい。実は萌(も)え要素が強いと思う」と松田さん。「次回は広島弁の中学生の恋愛を描きたい」と抱負を語った。

 同賞は2010年、有志が実行委員会を結成。毎年ジャンルを決めて、候補作と受賞作を発表している。(渡辺敬子)

(2013年6月11日朝刊掲載)

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