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被服支廠保存の改修費 「国は特別な支援を」 広島知事

 広島県の湯崎英彦知事は4日、広島市内に残る最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の保存には、財政面で国の「特別な支援」が必要との認識を示した。国による既存の補助制度では必要な費用のごく一部しか賄えないと見通しているため。国に積極的な関与と財源の保証を重ねて求めた形だ。

 湯崎知事は記者会見で、現存する4棟のうち1棟は国の所有として「国も責任ある立場で保存や利活用の検討に参画してほしい」と強調した。その上で、被爆建物の改修補助(上限2400万円)などの既存の制度では「(補助額が)非常に小さく、被服支廠と規模が合っていない。国は支援の在り方を検討してほしい」と促した。

 自民党の被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟のメンバーと7月31日、県庁で非公開で会談した際にも、同様の考えを伝えたという。「相当数の保存」を求めた議連からは、インターネット上で資金を集めるクラウドファンディングなど、外部資金を調達する提案があったとしている。

 県は昨年12月に「2棟解体、1棟の外観保存」とする安全対策の原案を打ち出したが、被爆者団体や県議会の意見を受け、本年度の着手を先送りした。湯崎知事は、来年度の当初予算編成に合わせて方針をまとめる考えに変わりはないと説明した。(樋口浩二)

(2020年8月5日朝刊掲載)

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