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「全棟保存も選択肢」 国・県・市で早急に議論を 公明代表が被服支廠視察

 公明党の山口那津男代表は5日、広島市内に残る最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)を視察した。焦点の保存規模について「全4棟を残すのも選択肢の一つ」と発言。被爆者が老いを深める中、国、広島県、市の3者で利活用の方向性を早急に出すよう求めた。

 初めて訪れたという山口代表は、県の担当者の案内で、県が持つ3棟のうち3号棟と、国の4号棟を見た。市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」代表で、建物前で被爆した中西巌さん(90)=呉市=から、保存への願いも聞いた。

 視察後の取材で、全4棟の保存は選択肢の一つとする一方、周囲のスペースが限られている中で駐車場やトイレ、休憩所を設ける必要性に言及。県議会の公明党議員団は「全棟保存」の立場で「地元の声を尊重して国、県、市で合意形成を図るのが重要」と述べた。

 湯崎英彦知事が求めた国の関与と特別な財政支援については「県だけで維持費を出す必要はない」と言及。市を交えた3者で方向性を探るよう促した。

 中西さんは視察後、「国に特別な保存の制度を作ってほしいとお願いした。『できる限り頑張る』と応じてもらった」と語った。(樋口浩二)

(2020年8月6日朝刊掲載)

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