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核軍縮遠い情勢 廃絶へ対話必要 国連事務次長 広島市長と面会

 平和記念式典に参列するため広島市を訪れている国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長が5日、市役所を訪れ、松井一実市長と面会した。大国間の対立などで核軍縮が遠のく国際情勢の中、核兵器廃絶に向けた対話が必要だとし、被爆75年の節目を迎えた広島の発信力に期待を寄せた。

 中満氏は、新型コロナウイルスの感染拡大で世界が混乱する現状に「私たちの住む世界がいかに脆弱(ぜいじゃく)かが分かった。安全保障の在り方もあらためて考えないといけない」と強調。「若い人たちがより広く、自分の問題として議論してほしい」と次世代への期待も語った。

 松井市長は「核兵器のない世界があるべき姿だとの考えを市民社会の共通認識にしていきたい」と述べた。

 中満氏は式典参列のため、米国でPCR検査を受け、2週間の自己隔離の期間を確保するため7月中旬に来日していた。松井市長との面会後、報道陣の取材に「核軍縮は国連の存在意義の大きな部分を占める。核兵器という脅威を取り除くため、75年の節目の機会を捉え、軍拡ではなく対話に立ち戻ることを広島から訴えたい」と話した。(明知隼二)

(2020年8月6日朝刊掲載)

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