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原爆症認定 病気範囲 次回議論へ 検討会 専門医の意見基に

 厚生労働省の原爆症認定制度の在り方に関する検討会の第21回会議が11日、省内であった。焦点の原爆放射線に関連する病気の範囲について、元放射線影響研究所(放影研)理事長の長瀧重信委員がまとめる意見を基に、次回会合で議論することを確認した。

 座長の神野直彦東京大名誉教授(財政学)たち11人が出席。神野座長が、病気の範囲について見解を聞く医療の専門家として長瀧委員を指名し、了承された。長瀧委員は医師で、甲状腺がんなどが専門。

 人選をめぐっては、委員同士で意見が対立し、神野座長に対応を一任されていた。神野座長は「可能な限り検討会内部で意見をまとめたい」と選定理由を述べた。

 次回会合では長瀧委員の見解を踏まえ、被爆者援護の在り方や国家財政の観点も含めて議論を進める。

 検討会は、認定対象の病気を増やし病状に応じて手当を支給する案と、認定制度を廃止して新たな手当制度を創設する案を軸に展開している。病気の範囲の扱いは、最終報告の内容を左右する重要な要素になる。

 神野座長は終了後、最終報告の時期について「委員のコンセンサス(合意)を得たいので、粘り強く慎重に議論したい」と強調。今夏の取りまとめは困難との認識をあらためて示した。(藤村潤平)

(2013年6月12日朝刊掲載)

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