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被爆地の象徴 「慎重に」 広島市の平和大通り「にぎわい」構想 市民らと担当者が意見交換

 広島市が進めている、市中心部の平和大通りの緑地帯にカフェなどを誘致する「にぎわいづくり」構想について議論する会が28日、広島市中区であった。市民団体の呼び掛けで集まった約40人が、市の担当者と意見交換。被爆地を象徴する通りの歴史を踏まえた慎重な検討を強く求めた。

 市の構想では、現在は道路扱いの緑地帯を公園にも指定し、民間資金を生かす「パークPFI」制度を導入。カフェなどを誘致して人が集うスポットとする。

 市の椎木明史・観光企画担当課長は、今後の人口減に触れ「通りを平和のシンボルとして生かしつつ、観光客の増加で活力を保つ」などと説明。事業者に求める要件は、年度内にまとめる基本計画を踏まえて決めるため「未定」とした。

 参加者からは「業者の利益優先では」「平和を伝えるのが市の役割だ」など、被爆死した学徒や市民の慰霊碑が点在する通りの商業化を懸念する声が相次いだ。椎木担当課長は「照明やカフェの設置を求める意見は多く、市民全体が反対かは疑問だ」と述べ、これまでに聴き取った意見を近く公表する考えを示した。

 主催団体代表の金子哲夫・県原水禁代表委員(72)は「平和都市としてのビジョンが見える計画をまず示した上で、市民の意見をよく聞いてほしい」と求めた。(明知隼二)

(2020年11月29日朝刊掲載)

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