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温かい笑顔とユーモア 那須さん死去 古里広島 悼む声

 子どもが夢中になる本を書き続けた作家人生だった。人気シリーズ「ズッコケ三人組」で知られる広島市西区出身の児童文学作家那須正幹さんが22日、亡くなった。古里広島をはじめ、ゆかりの人々から悼む声が相次いだ。

 ズッコケシリーズは、短気でおっちょこちょいのハチベエ、気持ちの優しいモーちゃん、物知りで思慮深いハカセという小学6年の3人が西区己斐地区を舞台に活躍する物語だ。モーちゃんのモデルになった西区の笹原孝治さん(78)は先月下旬、那須さんと広島市内で会ったばかりだった。「いつもと変わらず元気そうだった。10月に飲もうと約束していたのに」と声を落とした。

 防府市出身の作家高樹のぶ子さん(75)は約40年の親交がある。「いつもにこにこしていた。会う度に『のぶちゃん、よう頑張ってるね』と励ましてくれた」。命を重んじ、反戦平和を願う作品も多く手掛けたことに触れ、「被爆者としての主義主張を内に秘めていた。声高にではなく作品の中で子どもたちに静かに伝えていた」と振り返る。

 「楽しく頼もしい兄貴のような存在だった」と話すのは基町高生物部で1学年後輩だった広島市東区の山代猛博さん(78)。那須さんは部長を務め、休日にはよく山でキャンプをした。「夜のテントでお化けの作り話をして皆を怖がらせたり、笑わせたり。あの頃から才能があった」としのぶ。チョウの好きな那須さんが虫取り網を手に駆け回る姿は今も鮮明で、「ズッコケに登場する子どもそのものだった」。

 児童文学作家の朽木祥さん(64)も基町高の後輩だった。「子どもたちに愛され続け、児童文学界を支えてきた」と惜しむ。新刊を贈ると、びっしりと感想を記した返信が誰よりも早く届いた。「いつも温かな広島弁で気さくなユーモアのあるお人柄だった」と冥福を祈った。(鈴中直美)

(2021年7月23日朝刊掲載)

那須正幹さん死去 79歳 「ズッコケ三人組」

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