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平和を願う劇  8・6に上演へ 総文祭出場の広島市立商高 「被爆地を代表する」

 広島市立広島商業高(東区)の演劇部が6日、原爆投下により生徒や教諭約250人が犠牲になった同校の歴史を振り返り、平和への思いを込めたオリジナル劇を、和歌山県で開催中の全国高校総合文化祭(総文祭)で上演する。76年後の「あの日」に作品を披露する重みを胸に刻み、稽古に励んでいる。(江頭香暖)

 演目は「ねがいましては」。新型コロナウイルス感染拡大で活動が制限された現代の自分たちを見つめるとともに、戦時中にそろばんなどの授業が廃止され軍需工場に動員された当時の生徒に思いをはせるストーリー。クライマックスの場面では「やりたいことができる世の中」に向け、世界平和や核兵器廃絶を願う。

 同校は1921年4月、市商業学校として現在の中区南竹屋町に創立された。戦時中の44年に市立造船工業学校へと改称。原爆投下時、建物疎開作業中だった生徒194人と教諭5人を含め、計約250人が犠牲になった。65年、東区牛田新町の現在地に移った。

 同校創立100年を機に平和をテーマにした劇を上演しようと、同部顧問の黒瀬貴之教諭(57)が脚本を書いた。部員約20人が昨年9月から稽古を開始。それぞれ当時の若者たちの被爆体験記も読み込んだ。

 同部は同12月の中国地区高校演劇発表会で優秀賞となり、総文祭演劇部門の中国地方代表の2校に選ばれた。

 今月4~6日にある演劇部門には全国12校が出場。同部の上演日は抽選で6日に決まった。部長の3年山川結衣さん(18)は「8月6日に披露できるのは誇らしい。被爆地広島の代表として恥じない劇を演じたい」と意気込んでいる。

(2021年8月3日朝刊掲載)

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