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ドイツ フランクワルター・シュタインマイヤー外相 インタビュー全文

質問)広島へは何回来たことがありますか。過去に来られた方は、時期やその時の印象を教えて下さい。
回答)私は、今からちょうど2年近く前に、広島という素晴らしい町を訪れる機会を得ました。大臣再任後初の訪日を兼ね、2014年4月の軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)広島外相会合に出席したからです。核軍縮・不拡散は私にとり大変重要なテーマです。広島では、原爆慰霊碑と原爆資料館を訪れるとともに、被爆者の方と対話を行う等、深く心を揺さぶられる滞在となりました。広島は、「核兵器なき世界」という目標に向け力強く取り組みを進めるよう私たちを戒めています。

質問)今回の広島訪問で何を経験したいですか。
回答)今回、外相会合で広島を再び訪れることになり、楽しみにしています。核軍縮は今回も重要なテーマの一つとなるでしょう。広島とその歴史は、核兵器のない平和な世界の実現を進めるよう私たちに訴え続けているからです。この広島という町に息づく精神、主催国日本の温かい歓迎、また、広島周辺の美しい自然は、会合を成功へと導く大きな助けとなるでしょう。

質問)大臣が外相会合に期待することは何ですか。特に、国際平和に向けて議論したい課題や解決策はありますか。
回答)外相会合では、広島の地と密接な結びつきを持つテーマである核軍縮と並び、シリア危機やウクライナ問題、テロとの戦い等、国際政治で現在焦点となっている極めて幅広いテーマを扱うことになるでしょう。また、ドイツが主要7カ国(G7)議長国として取り上げた主要テーマの一つ「海洋安全保障」を今回日本が引き継ぎ、熱心な取り組みを進めていることを大変嬉しく思います。

外相会合では、これら全てのテーマについて重要な推進力が得られるものと期待しています。参加7カ国の意見・立場の幅は大変広いからこそ、説得力ある現実的なアプローチによる問題解決を図ることができるのです。現在私たちが直面しているさまざまな問題を見れば分かる通り、外交の力、対話の力を信じなければ、実際的なアプローチを示すことはできません。

質問)大臣は「核兵器なき世界」に賛同しますか。どうすれば実現できると思いますか。
回答)ドイツは、「核兵器なき世界」という目標の追求を自らの責務と感じています。しかし同時に、その道のりが遠いことは誰もが知るとおりです。例えば、先日の北朝鮮による核実験により、「核兵器なき世界」に到達するまでの過程で、核という要素を含む地域内対立に直面する場面もあるのだと思い知らされました。

私は、2013年夏のオバマ大統領による米ロ間の新たな軍縮交渉に向けた提案に対し、これまでこれを受け入れる動きがないことも残念に思っています。「核兵器なき世界」の実現は、世代を超えて取り組まねばならない課題なのです。いくつもの大小さまざまな前進を積み重ねていかなければならないのです。しかし、この道を進み続ける以外に選択肢はありません。

質問)次代を担う若者たちに、平和を進めるためにすべきことの提案はありますか。
回答)民間同士の開かれた交流は、互いの信頼を醸成し、それぞれの経験を語り合う場となりえるとともに、軍縮や平和に向け、ともに取り組んでいくにはどうしたらよいかについて新たなアイディアを生み出す大きな可能性を持っています。若者同士の国境を越えた対話も、こうした交流の一つでしょう。こうした対話は、過去の克服などの困難なテーマについても行っていかなければなりませんし、とりわけ中国や韓国などの近隣諸国、また世界の他の地域の人々と進めていくことが考えられます。また、広島の若い方々には、ぜひ、政治家など、政策決定を行う人々との議論を試みていただきたいと思います。

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