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悲願実り晴れやか 韓国人慰霊碑移設 日韓友好に弾み(広島県)

悲願の移設成る

 韓国人原爆犠牲者慰霊碑の平和記念公園(広島市中区中島町)への移設完工式が二十一日にあり、出席者からは、喜びや日韓友好の進展を願う声などが上がった。

 「悲運の死を遂げた犠牲者の安らぎの場を平和公園に、との願いが今世紀中に達成できた」と権養伯移設委員長。一九七〇年に対岸の本川橋詰めに碑を建てた張泰煕建立委員長も「今年は公園内で慰霊祭ができる」と喜びをかみしめた。移設募金は二千百五十万円に達し、目標の千五百万円を大幅に上回った。

 建立の地が公園の対岸だったことから「民族差別では」との指摘もあった同慰霊碑。チマ・チョゴリ姿で碑に折りづるをささげた山陽女子高一年の善甫真弓さんは「もう『差別の象徴』と説明しなくてもいいから、すごく晴れやか。慰霊碑も喜んでいるみたい」と笑顔で話していた。

 移設を機に、日韓の連携強化を求める声も相次いだ。韓国・大邱市の文熹甲市長は「両国がより良いパートナー関係を模索し、平和と共通の希望を見いだそう」と呼び掛けた。

 ただ未解決の在外被爆者への支援問題など残された課題も多く、「南北統一碑」実現のめども立っていない。「移設は統一碑へのワンステップ。実現には市の努力が欠かせない」と韓国の原爆被害者を救援する市民の会広島支部長の豊永恵三郎さんは指摘した。

(1999年7月22日朝刊掲載)

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