×

ニュース

被服支廠 国史跡指定も 文化庁 広島県側の申請前提 県議らと会合

 文化庁は6日、広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」について、文化財保護法に基づく国史跡に指定できる可能性があると明らかにした。歴史的な価値を評価できるとみているが、広島県側の申請が前提となる。指定されれば、県は国から原則50%の補助を受けて保存や修理ができるようになる。

 文化庁の担当者が、国民民主党の森本真治氏(参院広島)と、県議会会派の民主県政会に所属する県議が衆院第2議員会館で開いた会合で、言及した。

 担当者は、被服支廠を国史跡とする場合、歴史的、学術的な価値の高さを「所有者から言ってもらう必要がある」として、地元の評価と申請が前提になるとした。戦前に倉庫だった歴史から、倉庫の機能を残す必要があるとも展望した。

 一方で、保存や修理などに対する補助は、予算額の2倍以上の要望がある実態も説明した。県が1棟の耐震化に33億円が必要と試算しているのを念頭に「1件だけに数億円規模を補助すると、ほかから反発が出る。あまり高額は期待しないでほしい」と理解を求めた。

 文化庁の担当者は、自民党の国会議員が1月28日に開いた会合でも、原爆ドーム(広島市中区、1995年に国史跡)を引き合いに被服支廠が「カテゴリーとしては史跡」と説明している。県はこれまで、被服支廠について、中国財務局からの情報を前提に「国による重要文化財への指定は困難」と結論付けている。

 この日の会合には、財務省の担当者も出た。中国財務局が所有する1棟を県が活用する場合、無償で譲渡する方向で調整するとの考えを表明。ただ、国による耐震化費用の負担は困難とした。(河野揚)

(2020年2月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ