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「被爆実相 伝える建物」 広島の被服支廠 答弁書閣議決定

 政府は7日の閣議で、広島市内で最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」について、「被爆者の減少や高齢化により、被爆体験の風化が危惧されている中で、世代や国境を越えて被爆の実相を伝えていくことのできる建物の一つ」とする答弁書を決定した。閣議決定は政府全体の意思決定を意味し、内閣は重い責任を負うとされる。

 広島市内の被爆建物について「後世に伝承すべき歴史的財産として保存及び継承の取組が進められており」と指摘。政府として、地元自治体の保存工事に対し、以前から補助をしていることを改めて記した。

 旧陸軍被服支廠は現存する4棟のうち、3棟は県、1棟は中国財務局が所有。県が昨年12月に示した「2棟解体、1棟の外観保存」の原案に、「県内外から様々な意見」があることを答弁書は抑えている。

 その上で「建物の老朽化に対する安全確保の必要性、保存を行う場合の建物の活用方策や財源の確保等の観点から、同県において検討が行われていると承知している」とした。政府は「同県における議論を注視し、その状況を踏まえて対応すべきものと考えている」と結んだ。

 答弁書は、野党系無所属の初鹿明博氏(比例東京)が1月29日に出した質問主意書に答える形で出された。(河野揚)

(2020年2月8日朝刊掲載)

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