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被爆後の広島 カラー空撮 45年10月~46年2月ごろか 資料館公開 英から入手

 原爆資料館(広島市中区)は22日、原爆壊滅後の広島市街の様子をカラーで捉えた空撮映像の公開を始めた。昨年9月、英国帝国戦争博物館からデータを入手した。1945年10月~46年2月ごろの撮影とみられ、資料館は「さらに検証が必要だが、被爆後の広島のカラー空撮映像としては最も早い可能性がある」としている。

 英国の記者ウィリアム・コートネイ氏(1896~1960年)が、従軍記者として空襲後の大阪や呉などを上空から撮影。32分の映像のうち広島市分は5分7秒ある。爆心地付近のほか、広島城跡(現中区、爆心地から約1キロ)や横川駅(現西区、同約1・8キロ)など広く撮影しており、廃虚にバラックが建ち始めた様子も分かる。

 撮影時期は、45年9月の台風被害の痕跡、別の写真に残るバラックの建設状況との比較から、45年10月~46年2月ごろと推定。英連邦軍は46年2月、広島への進駐を始めていた。これまでに確認されたカラー映像では、米戦略爆撃調査団の撮影隊による46年3~4月の映像が最も早いとされ、資料館も所蔵している。

 英国での調査では映像5点と写真766点を入手。帰国後、コートネイ氏の空撮を含む映像3点は、国立の昭和館(東京)での所蔵を確認。資料館は「撮影内容や地点の分析は資料館でなければできない。最初期のカラー空撮として貴重で検証を続ける」とする。東館1階で7月下旬まで開いている海外収集資料の企画展で、集めた映像5点の再編集版を放映している。

 被爆後の広島を地上から最も早く収めた映像としては、日本映画社(東京)と米国人カメラマンのジョン・ボックホースト氏によるモノクロ映像がそれぞれ確認されており、いずれも45年9月3日に撮影された。(明知隼二)

(2020年2月23日朝刊掲載)

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