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「平和の灯」 千葉を走る 我孫子市、パラ聖火採火式に使用

 東京パラリンピックの聖火リレーに先立って全国各地で8月に行われる採火式で、千葉県我孫子市は被爆地広島の平和記念公園(広島市中区)にある「平和の灯(ともしび)」の分火を種火に使う。長崎で生まれ育ち、広島大で学んだ我孫子市職員安武真弓さん(41)が「平和の祭典を通して非戦の思いを伝えたい」と企画した。

 我孫子市では2015年、広島市に派遣された中学生24人が分火を持ち帰った。平和首長会議(会長・松井一実広島市長)の分火の呼び掛けに応じ、平和都市宣言30年の記念事業として市内の手賀沼公園に設けたガス灯に移した。広島と同じ「平和の灯」の名称で燃え続けている。

 全国の自治体が採火などの催しを独自に行う「聖火フェスティバル」を知った安武さんが「被爆75年にふさわしい取り組みになる」と提案。市と市原爆被爆者の会の共催で行う平和祈念式典に合わせ、8月15日に採火することになった。

 安武さんは長崎県諫早市出身。広島大を卒業後、広島市内で民間企業に約2年勤め関東地方に転勤した。07年、市民活動が盛んな我孫子市の職員に転職。平和事業を担当しながら「広島と長崎に原爆が落とされた8月6日、9日をよく知らない人も多い」と感じており、採火式が関心の高まりにつながることを願う。

 広島で4歳の時に被爆した市原爆被爆者の会の宮田将則会長が、昨年11月に亡くなった。宮田さんは平和の灯を反核のシンボルのように思っていた。安武さんは「平和と核兵器廃絶への願いを託された灯を若い世代に継承したい」と誓う。(中橋一誠)

(2020年2月24日朝刊掲載)

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