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被服支廠「当事者に」 広島知事、国・市向け主張 代表質問

 広島県議会は25日、2020年度当初予算案などについて湯崎英彦知事の姿勢を問う代表質問を始めた。湯崎知事は、被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(広島市南区)で今後進める活用策の検討は、国と広島市に「問題の当事者として、責任ある立場で検討に加わってもらう必要がある」と主張。文化財指定の可否や財源の確保策などを幅広く議論すると強調した。

 湯崎知事は現存する4棟のうち、県が保有する3棟について「2棟解体、1棟外観保存」とした原案の20年度の着手を先送りすると既に表明している。20年度は建物の活用策について、国、市とあらためて協議する姿勢を示していた。

 代表質問では、最大会派の自民議連の山下智之氏(廿日市市)の主張に呼応する形で、国と市のそれぞれが「当事者」として深く保存議論に関わる立場にあると指摘した。国は「被爆者援護法が定める平和を祈念する事業の主体」、市は「被爆建物の保存に取り組む主体」と説明し、両者に財源負担も含めた検討を促す姿勢をにじませた。

 第2会派の民主県政会の福知基弘氏(西区)への答弁も含めて、3者による協議で議題としたいテーマも列挙した。国が可能性を示す文化財指定の可否や保存の工法・費用に加えて、民間事業者による活用、民間からの財源調達の可能性などを想定しているとした。結論を出す時期は「21年度当初予算編成時期がめど」と述べ、1年後を軸とする考えを重ねて説いた。

 県議会は代表質問を26日まで続ける。続く一般質問は27、28日、3月2、3日の計4日間。被服支廠については、活用を巡る県の検討態勢などを尋ねる質問が予定されている。(樋口浩二)

旧陸軍被服支廠(ししょう)
 旧陸軍の軍服や軍靴を製造していた施設。1913年の完成で、爆心地の南東2・7キロにある。13棟あった倉庫のうち4棟がL字形に残り、広島県が1~3号棟、国が4号棟を所有する。県は築100年を超えた建物の劣化が進み、地震による倒壊などで近くの住宅や通行人に危害を及ぼしかねないとして、昨年12月に「2棟解体、1棟の外観保存」とする安全対策の原案を公表。県議会の要望などを受け、2020年度の着手は先送りした。4号棟は、国が県の検討を踏まえて方針を決めるとしている。

(2020年2月26日朝刊掲載)

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