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那須正幹さん死去 79歳 「ズッコケ三人組」

 人気シリーズ「ズッコケ三人組」で知られる児童文学作家、那須正幹(なす・まさもと)さんが22日午後2時5分、肺気腫のため防府市の病院で死去した。79歳。広島市西区出身。葬儀・告別式は近親者らで行う。

 遺族によると、16日に防府市の自宅で倒れ、救急搬送された。

 3歳の時に広島市庚午北町(現西区己斐本町)の自宅で被爆。県立島根農科大(現島根大)を卒業後、東京で会社勤めを経て1967年に帰郷した。同人誌を発行していた広島児童文学研究会に入会し、創作技術を磨いた。

 出身地の己斐地区をモデルにした代表作「ズッコケ三人組」シリーズは78年から刊行。2004年に50巻で一度終了後、05年から「中年三人組」シリーズとして再スタートし、14年の広島土砂災害を題材にした61巻で完結した。累計発行部数2500万部に及び、戦後の日本児童文学最大のベストセラーになった。

 78年、妻の実家のある防府市に移住。84年「折り鶴の子どもたち」、95年「絵で読む 広島の原爆」など、原爆や戦争をテーマにした作品も数多く手掛けた。お好み焼き店の女性3代記を描いた「ヒロシマ3部作」は12年、日本児童文学者協会賞を受賞。同協会の理事長も務めた。15年、中国文化賞を受賞した。

 憲法9条を巡る活動にも力を入れ、市民組織「九条の会山口」の呼び掛け人となり、「防府・九条の会」の世話人にもなった。(鈴中直美)

(2021年7月23日朝刊掲載)

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