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『核兵器はなくせる』 ヒロシマ・ナガサキ宣言 被爆者ら「勇気もらった」

■記者 吉原圭介、林淳一郎

 被爆者や、核兵器廃絶運動に取り組む関係者は18日、中国新聞の同日付朝刊に発表されたノーベル平和賞受賞者による「ヒロシマ・ナガサキ宣言」を歓迎し、「核兵器はなくせる」との思いを新たにした。

 宣言に署名した17人のうち、2006年に広島を訪れたベティ・ウィリアムズ氏ら3氏に会った広島県被団協の坪井直理事長(84)は「被爆者をはじめとする市民に勇気をくれた。被爆の実相を訴え続ける私たちも行動しなくてはならないという思いに駆られる」。

 もう一つの県被団協の金子一士理事長(83)も「オバマ米大統領が明言した『核兵器のない世界』は自然発生するものではない。力を振り絞って廃絶を訴えなくてはならないと感じた」と力を込める。

 山口県原爆被爆者支援センター「ゆだ苑」の田村茂照理事長(78)は「廃絶に向けて世界でうねりが起きている」。被爆者で広島市南区でお好み焼き店を営む梶山敏子さん(67)は「核兵器廃絶を真剣に考え、求める人たちが世界にいるとあらためて実感した」と感動を表した。

 宣言文の具体的な内容について、広島市立大広島平和研究所の浅井基文所長(67)は、核兵器を「無差別で、不道徳で、違法な兵器」としたことを評価。核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)日本NGO・市民連絡会事務局長を務める、ピースデポの田巻一彦副代表(56)は「声明がいうように核兵器廃絶のための『政治的意志』が求められている。それを日本から生み出すために働きかけを強めたい」と意気込みを示した。

宣言「心強い」 秋葉市長評価

 広島市の秋葉忠利市長と長崎市の田上富久市長は18日、「ヒロシマ・ナガサキ宣言」について「心強い」と評価した。その上であらためて来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議成功への取り組みに意欲を示した。

 秋葉市長は、2020年までに核兵器をゼロにする道のりを示した平和市長会議の「ヒロシマ・ナガサキ議定書」の来年採択に向け、この宣言などの世界的な動きと連帯し「全力を傾けていきたい」とコメントした。

 田上市長は電話インタビューに応じ「オバマ米大統領への支持の声を世界的に上げていかなければいけないときに、影響力のある方々が同じ意思を示してくれた。人間の英知を結集し、一つ一つの合意を重ねるよう各国の指導者を動かしていきたい」と話した。

(2009年5月19日朝刊掲載)

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