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独の参加歓迎 核禁条約会議 被爆者「日本も」

 来年3月にオーストリア・ウィーンである核兵器禁止条約の締約国会議に、ドイツがオブザーバー参加する見通しになった。先進7カ国(G7)の一つで、日本と同様に米国の「核の傘」の下にある。被爆地広島の被爆者団体や平和団体の関係者からは歓迎の声が上がり、日本政府にも参加を求める意見も相次いだ。(明知隼二、小林可奈)

 「ドイツの参加表明は、締約国会議の参加国を増やす上で大きな風穴があいたようだ」。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(79)は、G7で初めての動きを歓迎した。自身は25日朝、岸田文雄首相宛てにオブザーバー参加を求める手紙を郵送したばかり。「核兵器廃絶は被爆者の悲願。日本もドイツの動きに続いて」と期待した。

 米国の核戦力に頼る北大西洋条約機構(NATO)の加盟国としては、ノルウェーに続き2カ国目。ドイツは領土内に米国の戦術核が配備されてもいる。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(77)は「米国の『核の傘』の下にあるドイツの参加は意義がある」と強調。「被爆国としての判断も求められる」と日本の会議参加を求めた。

 「日本政府にも参考になる動きだ」。そう分析するのは、非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の川崎哲(あきら)国際運営委員(53)。ドイツがNATO重視の姿勢を維持したまま、会議への参加を表明した点に注目する。

 岸田首相や林芳正外相はこれまで、米国との共同歩調や信頼関係の必要性を理由に挙げ、締約国会議への参加や条約批准に否定的な姿勢を示してきた。川崎さんは「今後の米国の反応も注視する必要はあるが、日本が会議に参加できない理由はなくなるのでは」と指摘。近く国会が召集されるのも踏まえ「日本の国会議員も、ノルウェーやドイツの動きを受けて具体的な議論をしてほしい」と注文した。

(2021年11月26日朝刊掲載)

独、核禁条約会議オブザーバー参加へ 日本参加 なお慎重姿勢 林外相

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