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二葉あき子さんゆかりの一台 被爆ピアノ資料館に展示 平和学習に活用へ

 広島市出身の被爆者で歌手の二葉あき子さん(2011年に96歳で死去)が女学生時代に弾いたピアノが29日、調律師の矢川光則さん(69)が運営する「被爆ピアノ資料館」(安佐南区)に展示された。持ち主の遺族の思いを受け継ぎ、平和学習に活用される。

 爆心地から約1・8キロの西観音町(現西区)の民家で被爆した米国製のアップライトピアノ。金色で「EILERS」と刻まれ、鍵盤は象牙でできている。

 県立広島高等女学校(県女、現皆実高)で二葉さんと同級生だった故中邑(なかむら)泰子さんが、米国に移住した叔父から贈られ、生涯大切にしていた。東京音楽学校(現東京芸術大)進学を目指していた二葉さんが、このピアノで練習に励んだという。現在まで、中邑さんが生前所有していた賃貸住宅に保管されてきた。

 この日は中邑さんの長女の中西祥子さん(80)=安佐北区=たちが見守る中、専門業者が住宅からピアノを搬出し、約10キロ離れた資料館へ運んだ。「最高の受け入れ先が決まり安心した。母も喜んでいると思う」と中西さん。矢川さんは「外国製の被爆ピアノの展示は初めて。人間と同じように、米国製のピアノも被爆したことを伝えたい」と力を込めた。

 中西さんは、被爆時に焼失を免れた楽譜も併せて寄贈した。資料館で展示される。(桑島美帆)

(2021年11月30日朝刊掲載)

二葉あき子さん ゆかりの1台 矢川さんの被爆ピアノ資料館に寄贈へ

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