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三次発平和の鐘 日米友好深めて 戦時中供出 縁深いカーター元大統領拠点に鐘楼建築へ

大工派遣や資材を供給 来年目標 住民有志実行委が支援

 戦時中に三次市甲奴町の寺から供出され、現在は米ジョージア州のジミー・カーター元米大統領(97)の活動拠点「カーターセンター」にある鐘の鐘楼建築に向け、同町の住民が支援する。ジョージア日米協会などが主体となり、2022年9月の鐘楼の完成を目指すプロジェクトが同州で発足。同町では有志でつくる実行委員会が大工派遣や資材供給を予定し、10日から募金も始める。(千葉教生)

 鐘は、同州アトランタ市にある同センターで、日米友好を象徴する「平和の鐘」として台座に置いて展示されている。戦時中に同町の正願寺から軍需物資として呉海軍工廠(こうしょう)に供出され、戦後に英国を経て米国へ渡った。1985年にアトランタ日本商工会議所などが買い取り、カーター氏へ寄贈した。

 10年ほど前から町民は、旧甲奴町時代に姉妹都市提携を結んだ同州のアメリカス市や同センターを友好訪問する中学生を通じて、鐘をつり下げて鳴らせる状態にしてほしいと要望。カーター氏の同意を得て、同センター内の日本庭園付近に建てることが決まった。

 鐘楼は、ジョージア州側の意向により日本の建築方式を採用する。実行委はヒノキなどの建築資材を日本で調達、加工し来夏に現地へ輸送する。甲奴町からは大工3、4人を約1カ月間、現地に派遣して建築に協力する。設計図作製などの費用のための寄付金も募る。市甲奴支所と同町内の郵便局に置く振込用紙による振り込みか、「平和の鐘」プロジェクト支援実行委員会のホームページ(HP)から寄付ができる。

 実行委の花神佐市郎委員長(51)は「鐘の音色から日本文化を感じ取り、日米交流の新たな起点になってほしい」と話す。

 鐘による縁で、カーター氏は90年と94年に旧甲奴町を訪問。95年にカーター氏の出身地に近いアメリカス市と旧町が結んだ姉妹都市提携は合併後の三次市が引き継ぎ、中学生の相互訪問など交流が続いている。

(2021年12月9日朝刊掲載)

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