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カーター氏に感謝届け 住民ら動画収録 配信へ 31年交流の甲奴から誕生日メッセージ

 31年前からジミー・カーター米元大統領(96)と交流を続ける三次市甲奴町の住民たちが、10月1日のカーター氏の誕生日を祝う動画を同町本郷のジミー・カーターシビックセンターで収録した。同町と米国の2拠点で活動する広島平和文化センター(広島市中区)の元理事長スティーブン・リーパーさん(73)を中心に呼び掛け、息の長い交流に感謝するメッセージを約60人が伝えた。(石川昌義)

 カーター氏が初めて同町を訪問したのは1990年。戦時中に供出された正願寺(小童)の鐘が米アトランタ市に渡り、カーター氏の活動拠点「カーターセンター」で平和のシンボルとなった逸話を縁に交流が始まった。同寺の吉井祥道住職(73)は、カーター氏を案内した先代住職の父象歩(しょうほ)さんの遺影を持って収録に臨んだ。

 カーター氏は94年にも同町を訪ねた。カーター氏を日本茶の野だてでもてなし、95年に同町の米国訪問団の一員としてカーター氏に詩吟を披露した杉原利子さん(85)=西野=は「きさくでスマート。カータースマイルが忘れられない」と振り返る。収録後、千羽鶴を折る輪に加わり、長寿を願った。

 カーター氏の出身地に近いジョージア州アメリカス市と旧甲奴町が95年に結んだ友好都市提携は合併後も引き継がれ、中学生の相互訪問などの交流が続く。「視野が広がり、人生観にいい影響があったのでは」と話すのは、長男と長女が訪米した農業田辺俊彦さん(60)=本郷。同世代の父親仲間とカメラの前に立ち、謝意を伝えた。

 ピーナツ農家出身のカーター氏が友好の証しとして2001年に種を同町に寄贈した「カーターピーナッツ」は甲奴の特産品として親しまれている。ことしから栽培を始めた上川地区振興協議会のメンバー田村賢治さん(51)=有田=は「これからも大切に育てます」と決意を語った。

 収録したメッセージは、英語の字幕を付けて動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信する予定という。「カーター氏との長い交流は甲奴、米国の双方にとって宝物」とリーパーさん。「ハッピーバースデー・アンド・サンキュー」と書いた英文の横断幕を掲げ、全員でカメラに手を振った。

ジミー・カーター氏
 第39代米大統領(1977~81年)。78年にイスラエルとエジプトの平和条約締結を導いた「キャンプデービッド合意」を調停した。退任後は出身地のジョージア州を拠点に民間外交を展開。紛争解決や選挙監視などの功績から2002年にノーベル平和賞を受賞した。

(2021年8月30日朝刊掲載)

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