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核廃絶の志継承 生前の笑顔に決意新た 原爆資料館で坪井さんに別れ

 広島県被団協の理事長を務め、10月に96歳で亡くなった坪井直さんのお別れ会が22日、広島市中区の原爆資料館で営まれた。被爆者団体や行政の関係者、平和運動の仲間たち約400人が参列。核兵器廃絶を国内外で訴え続けた坪井さんをしのび、志を受け継ぐ決意を新たにした。

 壇上には笑顔の坪井さんの写真が飾られ、会を主催した県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(79)があいさつ。20歳で被爆し一時は意識を失った坪井さんの歩みに触れ「ほかの誰にもこんな思いをさせてはならないとの信念を基に訴えてこられた。心のよりどころだった」と声を震わせた。

 日本被団協の木戸季市事務局長(81)は「広島の被爆者の顔として運動の先頭に立たれた。今日はお別れの会だが、核兵器もない、戦争もない世界に向けて生きていくことを誓い合う会でもある」と追悼の言葉を述べた。生前の映像も用意され、2016年に現職の米大統領として初めて被爆地を訪れたオバマ氏と握手を交わす様子などが流れた。

 広島県の湯崎英彦知事、広島市の松井一実市長、地元選出の国会議員たちが献花。一般参列者による献花で長い列ができた。

 坪井さんは1945年8月6日に爆心地から約1・2キロの広島市富士見町(現中区)で被爆。47年に中学校教員となり、教え子に平和の大切さを説いた。退職後、被爆者運動に関わり、00年に日本被団協の代表委員に就任。04年に県被団協の理事長に就いた。

 県被団協の植田雅軌副理事長(89)は「(核兵器廃絶のため)死ぬまで頑張れと言われた坪井さんの言葉が心の中にある。体が続く限り、努力したい」と声を振り絞った。(新山創)

(2021年12月23日朝刊掲載)

核廃絶への思い継ぐ 坪井さんしのびお別れ会 教え子や若い世代も

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