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核なき世界へ保有国説得が役割 岸田首相、本社岡畠社長と対談

 岸田文雄首相(広島1区)は新年にあたり、中国新聞社の岡畠鉄也社長と首相公邸で対談した。4度目の延期で2022年夏開催の見通しとなった核拡散防止条約(NPT)再検討会議での合意文書採択に決意を示し、「『核兵器なき世界』に向けた第一歩となる」と強調。核軍縮を着実に進めるため「唯一の戦争被爆国として核兵器保有国を説得する役割を担う」と述べた。「政治とカネ」問題に関し、歳費法改正を通常国会で目指すとした。

 ライフワークとする核兵器廃絶に向け、米ニューヨークで予定されるNPT再検討会議を重要視。22年1月からの開催延期で核軍縮を巡る協議のさらなる停滞が懸念される中、15年の前回会議で対立した核保有国と非保有国が「共に合意できる限界がどこなのかを探り、今回こそ合意文書を採択して次の段階につなげたい」と力を込めた。

 核兵器禁止条約を「核兵器なき世界」の出口だと改めて位置付ける一方、3月に予定される第1回締約国会議のオブザーバー参加は核保有国が条約に反対していることから「現時点で選択肢にない」と述べた。

 その上で核保有国を核兵器禁止条約へ近づけていくには、停滞する包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准や兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉を進める必要があるとの認識を示した。こうした取り組みの前提となるのはバイデン米大統領との信頼関係の構築で、日米首脳会談の早期実現などに最優先で取り組むとした。

 23年に日本で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の広島開催を求める岡畠社長に対し、首相は「世界の指導者に被爆の実相に触れてもらうのは大変意味がある」と語ったが候補地選定は白紙だとした。

 19年参院選広島選挙区の大規模買収事件で有罪が確定した河井克行元衆院議員、案里元参院議員夫妻側に対する自民党本部の1億5千万円提供問題では、当時の党執行部が国民の信頼を失ったことを重く受け止め、党改革を進めるとした。提供の経緯を含む再調査には言及しなかった。

 選挙違反で当選無効となった国会議員に歳費の返還を義務付ける歳費法改正案は、17日召集される見込みの通常国会での成立に「自民、公明の与党として努力をしていく」と述べた。(下久保聖司)

(2022年1月1日朝刊掲載)

新春対談 岸田文雄首相 中国新聞社 岡畠鉄也社長

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