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核廃絶へ就任前に構想 国際賢人会議 首相、機運醸成狙う

 岸田文雄首相(広島1区)は17日の施政方針演説で、核兵器なき世界の実現に向けた「国際賢人会議」の創設を打ち出した。名称や各国為政者を加えるメンバー構成などは就任前から温めてきた構想で、2020年10月に出した著書「核兵器のない世界へ―勇気ある平和国家の志」でつづっていた。

 核兵器保有国と非保有国の両方から核軍縮の専門家が集い議論する場として、外相時代の17年に設立した賢人会議。著書では「会合をさらに強化するため、世界中で影響力を持つ人たちからのコミットメント(関与)を広く募り、質量両面で一層充実させたい」と強調。米国とロシアの大統領経験者であるオバマ、ゴルバチョフ両氏らを招き入れ、核廃絶という山頂に導く「シェルパ役」を担ってもらいたいとしている。

 出版は、20年9月の自民党総裁選で菅義偉前首相に敗れた翌月だった。被爆地広島の政治家として「世界中の人々の羅針盤になりたい」と宣言。第5章に収めた私案「岸田イニシアチブ」では、核拡散防止条約(NPT)体制の強化に向けた日米連携の取り組みや、中国を巻き込むため「平和と開発のための原子力」をテーマにした日米中協議も提案している。

 首相は核兵器禁止条約の批准、署名になお慎重で、被爆者の間には「歴代政権との違いが分かりにくい」との声がある。新型コロナウイルスでNPT再検討会議も再延期され、核軍縮のさらなる停滞が懸念される中、国際賢人会議の創設表明は「核兵器のない世界に向けた国際的な機運を高めたい」(官邸関係者)とする首相の強い意向だったという。広島での初会合は今年前半を模索している。(下久保聖司)

(2022年1月18日朝刊掲載)

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