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ヒロシマも停戦切望 ゼレンスキー大統領 演説 過去の原発事故が脅威に/日本がリーダーシップを

 ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説した23日、ロシア侵攻によるチェルノブイリ原発周辺の環境への影響や核兵器使用の可能性を懸念するメッセージに、広島の被爆者や平和団体関係者はあらためて一刻も早い停戦を願う声を上げた。(明知隼二、小林可奈)

 ゼレンスキー大統領は、同原発事故で汚染されたがれきなどを埋めた一帯にも侵攻が及んでいるとし、巻き上げられた粉じんによる長期的な汚染を懸念した。

 2012年にウクライナを訪れ、同原発も視察した被爆者の田中稔子さん(83)=広島市東区=は「過去だと思われている事故が、戦争により現在の脅威になっている」と指摘した。訪問時には、原発事故による汚染から逃れるためにキエフに移住した住民グループと交流した。「事故に追われ、今は戦火に追われていると思うと心が痛む。一刻も早い停戦を」と願った。

 大統領はロシアによる核兵器や化学兵器の使用を国際社会が懸念する現状にも触れた。平和活動に取り組むNPO法人ANT―Hiroshima(中区)の渡部朋子理事長(68)は「大統領は日本に、核兵器や化学兵器が使われる前に停戦へと導く外交的なリーダーシップを求めている。被爆地選出の首相や国会議員は一丸となり願いに応じるべきだ。被爆地広島の市民ももっと大きな声を上げなければ」と力を込めた。

(2022年3月24日朝刊掲載)

露の自制 強く求める 広島選出の国会議員ら

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