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「黒い雨」の救済 新指針運用開始 広島県・市 初日は44人に手帳

 米国による広島原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」の被害者救済を巡り、国の新たな被爆者認定指針の運用が1日、始まった。黒い雨に遭ったことが否定できず、国が定める病気にかかっている人を被爆者と認める内容で、広島県や広島市が申請に基づき審査を進める。初日は県と市が各22人の計44人に被爆者健康手帳を発行した。

 新たな認定指針では、本人の証言や当時の居住地などから黒い雨に遭ったと確認でき、がんや白内障など11種類の疾病にかかっている場合、手帳が交付される。国が定める従来の援護対象区域(大雨地域)の外でも、雨に遭ったことが否定できなければ対象となる。白内障は手術歴も含めて認める。

 黒い雨体験者の救済を巡っては、国は1976年、爆心地から北西方向に広がる長さ約19キロ、幅約11キロのエリアを援護対象区域に指定。区域内で雨に遭い11疾病にかかった人に手帳を交付してきた。区域外は援護対象から外されてきたが、区域外で雨に遭った原告84人全員を被爆者と認めた昨年7月の広島高裁判決の確定を受け、国は新たな指針を定めた。

 県市には既に計2100件を超える申請が寄せられている。(明知隼二)

(2022年4月2日朝刊掲載)

被爆者認定に喜び 疾病要件で苦渋も 「黒い雨」救済 新指針開始

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