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[G7サミット ヒロシマへ] 首脳と被爆者 面会へ調整 首相、広島市長らに意向(2023広島サミット)

 岸田文雄首相(広島1区)は9日、2023年に先進7カ国首脳会議(G7サミット)で広島市を訪れる各国首脳と被爆者の面会実現に向け、調整に当たる考えを示した。官邸で会談した松井一実広島市長たちからの要請に答えた。実現すれば、核兵器を持つ米国、英国、フランスの首脳がそろって被爆者と顔を合わせる初の機会となり、歴史的なサミットとなる。(口元惇矢、樋口浩二)

 松井市長や、一緒に会談した湯崎英彦広島知事、広島商工会議所の池田晃治会頭によると、G7首脳による被爆者との面会や原爆資料館(中区)の見学を求めると、首相は「各国との調整も必要だが、検討したい」と述べたという。

 サミット史上初となる被爆地開催を決断した岸田首相にとっては、米英仏の首脳から承諾を得られるかどうか、手腕の見せどころだ。今月下旬にドイツで開かれるG7サミットで直談判する可能性もある。

 核兵器保有国のトップと被爆者の広島市での面会は16年5月、時の米国大統領だったオバマ氏との間で実現した。原爆慰霊碑の前で広島県被団協の理事長だった故坪井直さんと言葉を交わし、被爆者で歴史研究家の森重昭さん(85)と抱擁したが、被爆証言を聞く機会はなかった。当時は安倍晋三政権で、岸田首相は当時外相として立ち会った。

 先月の日米首脳会談で広島市でのサミット開催を了承したバイデン米大統領はオバマ政権で副大統領を務め「核兵器のない世界」などの政治理念を共有しているとされる。現駐日米大使のエマニュエル氏は今春、首相とともに平和記念公園(中区)を訪れている。

 官邸での広島関係者との会談で、首相は広島市でサミットを開くことについて「平和について考え、議論し、具体的なアクションを打ち出すことが重要だ」と改めて強調。ロシアによるウクライナ侵攻や核兵器での威嚇が続く現状を踏まえ、サミット史上初となる被爆地開催は「国際平和に向けての第一歩になる」とし、核兵器廃絶に向け「具体的な成果を出さないといけない」と訴えたという。

(2022年6月10日朝刊掲載)

[G7サミット ヒロシマへ] 広島県市トップらに期待感

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