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連載・特集

核兵器禁止条約 締約国会議を前に <1> サーロー節子さん

手を緩めない 被爆者の責任

 核兵器禁止条約の第1回締約国会議が間もなく開かれる。条約実現に貢献した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))を代表して2017年のノーベル平和賞授賞式でも演説したカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(90)が、会議を前にオンラインで思いを語った。(森田裕美)

  ≪ロシアのウクライナ侵攻で核兵器の使用が懸念され、世界は核への依存を高めつつあるように見える。今回の会議は、まさに逆風の中での開催となる。≫
 今、ウクライナの人々の日常は失われ、世界は不安に覆われている。まさに暗夜だ。しかしだからこそ、光がより輝いて見える。

 私にとってその光は「核兵器禁止条約」。核の暗夜から脱出するために必要な、行く手を照らす光が今回の締約国会議だ。このプロセスの一部に関わることに深い感銘を受けるとともに、1人の被爆者として責任も感じている。

 ≪13歳の時、広島の爆心地から約1・8キロ地点で被爆。肉親たちを奪った原爆の非人道性を告発し、惨劇を繰り返さないためには廃絶しかないとの信念を世界中に発し続けてきた。≫
 感染状況を踏まえてウィーンへの渡航は控えることにしたが、オンラインで参加し、会議の前にあるICANなど非政府組織(NGO)の集会で発言する。私たちは核兵器廃絶へまい進する決断をした。その手を緩めることはできない。

(2022年6月15日朝刊掲載)

核兵器禁止条約 締約国会議を前に <1> カナダ在住の被爆者 サーロー節子さん(90)

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