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被爆者失望「なぜ」 核禁条約会議不参加

 日本政府が21日からオーストリアで始まる核兵器禁止条約の第1回締約国会議への出席を見送ったことが判明した15日、広島の被爆者たちに失望感が広がった。求めてきたオブザーバー参加もしない方針に落胆の声が上がった。

 岸田文雄首相(広島1区)は「核兵器のない世界」の実現をライフワークとする。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)は「被爆地広島の選出をアピールする首相に、核兵器廃絶へ向け踏み込んだ対応をしてほしかった。後ろ向きな決断で残念だ」と話した。北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、米国の核戦力に依存するドイツなどはオブザーバー参加する。「日本はなぜ参加できないのか。姿勢を変えてほしい」とした。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(77)は「本当に核兵器を廃絶したいのなら、会議への参加は不可欠だ。言葉にする以上、行動で示してほしい」と肩を落とした。政府に参加を求める署名活動は今後も粘り強く続ける考えを示した。

 会議に合わせてオーストリアへ渡航する日本被団協の木戸季市事務局長(82)は、核兵器の保有国と非保有国の橋渡し役を担うとする日本政府の姿勢に言及し「会議の場こそ橋渡しの役割を果たす絶好の機会なのに大きく矛盾している」と指摘。「戦争被爆国の影響力は大きく、参加すれば世界の論調を変えられるはずだ」と残念がった。(新山創、余村泰樹)

(2022年6月16日朝刊掲載)

核禁条約会議 不参加 首相、保有国含む議論優先

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