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故荒木広島市長呼びかけから40年 平和首長会議 加盟8000超 核廃絶 連携どう生かす

 平和首長会議(会長・松井一実広島市長)は24日、発足のきっかけとなった広島市の故荒木武市長(在任1975~91年)の国連での呼びかけから40年を迎えた。核兵器廃絶を目指す加盟都市は8千を超えた。ロシアによるウクライナ侵攻や核兵器使用の示唆で市民の暮らしが脅かされる中、都市の連携をどう核兵器廃絶へと結びつけるかが課題となっている。(明知隼二)

 「都市と都市が国境を超え人種の区別なく連帯し、共に核兵器廃絶への道を切り開く」。荒木氏は82年6月、国連軍縮特別総会で自らの被爆体験を交えながらそう都市間の連携を呼びかけた。この演説をきっかけに「世界平和連帯都市市長会議」が発足。広島や長崎での総会や国際会議などを通じ、都市の視点から核兵器廃絶を訴えてきた。

 秋葉忠利市長(同99~2011年)は03年、20年までの核兵器廃絶を掲げる活動指針「2020ビジョン」を策定。外遊を重ね、加盟数は就任当初の10倍近い約4500都市に急増した。松井市長(同11年~)の会長就任後も加盟は増え、今月1日時点で166カ国・地域の8174都市となっている。

 大規模化の過程では、加盟都市の活動の濃淡が課題となった。松井市長は世界24のリーダー都市が各地域の活動をけん引する体制を整備。貧困や難民、気候変動など都市が直面する課題が多様化する中、より広く都市の力を束ねるため、21年策定の新指針「PXビジョン」では「安全で活力のある都市」の実現を核兵器廃絶と並ぶ柱に据えた。

 「都市や市民のレベルで物事を考える仕組みを世界に広げれば為政者も変わる。それがミッションだ」。松井市長は今月中旬の会見で活動の意義をあらためて強調した。加盟都市の市民の力をいかに核兵器廃絶へとつなげるのか。10月に広島市で開かれる首長会議総会の議論が注目される。

(2022年6月25日朝刊掲載)

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