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[2023広島サミット]広島サミット5月19~21日 7首脳 平和公園訪問も

 岸田文雄首相は28日、地元の広島市で来年開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)の日程を「5月19~21日」と明らかにした。ドイツ南部エルマウでのサミット閉幕後の記者会見で表明した。先立つ会合スピーチでロシアのウクライナ侵攻に触れ、「広島ほど平和へのコミットメント(関与)を示すのにふさわしい場所はない」と強調。G7首脳でそろって平和記念公園(中区)を訪れることを示唆した。被爆者との面会は調整を続けるとみられる。(境信重 エルマウ発)

 核兵器を持つ米国、英国、フランスの首脳が被爆地で顔をそろえる歴史的なサミットまで、既に1年を切った。被爆の実態をいかに伝え、各国要人の警護や交通アクセス、もてなしをどうするか。市民の暮らしに支障を来さない工夫も不可欠で、政府と地元官民の連携強化が欠かせない。

 日本での過去6回のサミットは5~7月に開かれた。広島でのサミット開催時期を巡り、日本政府は中国地方が平年6月6日ごろに梅雨入りすることを考慮。5月後半を軸に検討してきた。首相はドイツで各国首脳に伝え、金曜から日曜にかけた日程を正式決定。G7は広島開催を歓迎する首脳声明を発表した。

 首相はサミットを締めくくる次期議長スピーチでウクライナ情勢に言及。「未曽有の危機に直面する中、来年のサミットで武力侵略も核の脅かしも、国際秩序の転覆の試みも断固として拒否するというG7の意志を示したい」と訴えた。

 5月の日米首脳会談後の会見と同じく、被爆地はG7首脳が集う「ふさわしい場所」と強調した。「核兵器の惨禍を人類が二度と起こさないとの誓いを世界に示し、G7首脳とともに平和のモニュメントの前で、平和と国際秩序と価値観を守るために結束することを確認したい」と、平和記念公園訪問を示唆。園内の原爆資料館の視察や被爆者との面会には触れなかった。

 首相は、米国で8月に開催する核拡散防止条約(NPT)再検討会議に日本の首相として初出席する。9月下旬の国連総会での演説も検討。年内には各国の政治指導者らが核軍縮の方策を検討する「国際賢人会議」を広島で初開催する。

 来年のサミットを巡り、政府は近く、準備事務局を外務省内に設置。関係閣僚会合の開催地選定も進めており、交通アクセスやホテルの客室数などの観点から検討。早ければ7月中に10都市程度を選ぶ見通しだ。

(2022年6月29日朝刊掲載)

サミット同行記 境信重 被爆地開催 ヒロシマ発信に力

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