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2022参院選 中国地方の候補者 憲法アンケート <下> 合区解消・教育 賛成上回る

条文変更 根強い批判も

質問項目と選択肢

 自民党が示している「改憲4項目」について、スタンスをお尋ねします。

○衆参両院の選挙区と定数は「地域的な一体性」などを総合的に勘案した上で、特に参院選は合区を解消し、各県から少なくとも1人ずつ参院議員を選べる選挙制度を維持するようにする提案に賛成ですか、反対ですか。

 ①賛成②反対③どちらでもない

○教育の充実を巡り、個人の経済的理由にかかわらず教育を受けられるよう、国の努力義務規定を盛り込む案について、賛成ですか、反対ですか。

 ①賛成②反対③どちらでもない

○あなたが、「条文を書き直すか、付け加えるべきだ」と思うものがあれば、以下から選んでください。(複数回答可)

 ①自衛隊の位置付けなど9条の平和、国防に関する内容②地方自治の強化③道州制の導入④改憲手続きの96条⑤国政選挙の選挙制度のあり方⑥環境権⑦公共の福祉のあり方⑧天皇の位置付け⑨災害やテロなど緊急事態への国の関わり⑩首相公選制⑪プライバシー権⑫知る権利⑬家族や家庭の尊重⑭憲法裁判所の設置⑮財政規律の規定⑯教育の充実⑰条文を変えるべきものはない。現行の憲法のままでいい⑱そのほか

 中国新聞社が参院選(10日投開票)の中国地方4選挙区の候補者を対象にした憲法改正に関するアンケートでは、合区解消案と国の教育義務規定案について、いずれも賛成が反対を上回った。また、見直すべき条文として「9条の平和、国防に関する内容」を挙げる意見が目立った。

合区の解消

 自民党は参院選で合区を解消し、各都道府県から改選期に少なくとも1人選出できるようにする案を掲げている。「賛成」と回答したのは10人(40%)。「反対」は6人(24%)、「どちらでもない」は8人(32%)だった。

 自民党は現職4人全員が賛成の立場を取る。島根・鳥取合区選挙区の現職(61)は「合区解消は法改正では難しく、憲法改正が必要」と強調する。広島選挙区の諸派新人(45)も同調し、「(合区では)選挙区があまりにも広くなり、住民の声を拾い切れない」と課題を指摘した。

 これに対し、4選挙区の共産党の新人4人は「都道府県単位の選挙区制を憲法に明記すれば、投票価値の平等は改善される余地がなくなる」などと反対。山口選挙区の国民民主党新人(48)も「もし各県から少なくとも1人ずつ出したいのであれば参議院議員の位置付け自体を見直すべきだ」と自民党案を批判した。

教育充実への国の努力義務

 経済事情に関係なく教育を受けられるよう、国の努力義務規定を盛り込む案は「賛成」が14人(56%)で「反対」の7人(28%)を大きく上回った。「どちらでもない」は3人(12%)だった。

 岡山選挙区の自民党現職(39)は「一生を通じて教育の機会を保障する理念を憲法に規定するのは重要」と賛成の理由を説明。一方、島根・鳥取合区選挙区の立憲民主党新人(34)は「教育の無償化には賛成だが、必要なのは予算措置。憲法改正ではない」と反対した。

条文の修正・追加

 条文を書き直すか、付け加えるべきものは―。複数回答可で尋ねると、「自衛隊の位置付けなど9条の平和、国防に関する内容」が11人で最多だった。次いで「国政選挙の選挙制度のあり方」「災害やテロなど緊急事態への国の関わり」「教育の充実」が各7人だった。

 「選挙制度のあり方」を選んだ山口選挙区の諸派新人(57)は「新規に政治に参加するには金銭的にも仕組み的にもハードルが高過ぎる」と指摘。共産党の4人と立憲民主党の2人はいずれも「条文を変えるべきものはない。現行の憲法のままでいい」とした。(中川雅晴)

(2022年7月4日朝刊掲載)

2022参院選 中国地方の候補者 憲法アンケート <上> 自衛隊明記 自民全員「賛成」

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