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連載・特集

2022参院選 中国地方の候補者 憲法アンケート <上> 自衛隊明記 自民全員「賛成」

与野党問わず意識変化

 中国新聞社が参院選(10日投開票)の中国地方4選挙区の候補者27人を対象にした憲法アンケートは、9条への自衛隊明記案や緊急事態時の内閣の権限強化案を巡って賛否が拮抗(きっこう)し、回答者25人のスタンスが浮き彫りになった。全5問への回答を2回に分けて紹介する。(中川雅晴)

質問項目と選択肢

 自民党が示している「改憲4項目」について、スタンスをお尋ねします。

○憲法9条に自衛隊を明記する案について、賛成ですか、反対ですか。

 ①賛成②反対③どちらでもない

○「緊急事態」への対応として条文を新設し、大規模災害の発生時に国会議員の任期を延長したり、内閣に権限を集中したりする案について、賛成ですか、反対ですか。

 ①賛成②反対③どちらでもない

自衛隊の9条明記

 憲法9条への自衛隊明記案の賛否は「賛成」が12人(48%)と最も多く、「反対」10人(40%)、「どちらでもない」2人(8%)だった。前回の2019年参院選の調査時では反対が最多(47%)。賛成したのは2人(12%)にとどまっており、与野党を問わず意識の変化がうかがえる。

 党派別でみると、自民党は候補者4人全員が賛成した。山口選挙区の現職(65)はロシアのウクライナ侵攻を踏まえ「安全保障環境が厳しさを増す中、自衛隊を憲法9条に明記することで違憲論が解消される」と訴える。このほかNHK党3人、日本維新の会1人、諸派と無所属の各2人も賛成した。無所属のうち1人は立憲民主、国民民主の両党から推薦を受ける岡山選挙区の新人(58)。

 反対したのは、「専守防衛を揺るがす」などとした共産党の候補者4人全員をはじめ、立憲民主党2人▽国民民主党1人▽諸派1人▽無所属2人。島根・鳥取合区選挙区の立憲民主党新人(34)は「9条は平和国家としての立ち位置を示し、国民的議論のないまま一部の政治家の思いだけで改憲に向かうべきではない」とけん制した。

緊急事態条項

 災害時などに内閣の権力を強め、市民の権利を一部制限する案の緊急事態条項については、「賛成」が10人(40%)、反対11人(44%)、「どちらでもない」3人(12%)だった。

 自民党4人は全員が賛成。「国民の生命、財産を守るのは国家の役割だ」などと主張した。広島選挙区の日本維新の会新人(46)も運用や個別法では対処することはできないとし、条文新設の検討を求める。NHK党2人▽諸派2人▽無所属1人―も賛成した。

 反対したのは、共産党4人▽立憲民主党1人▽NHK党1人▽諸派3人▽無所属2人。「政府の権限が強化されれば、国民の人権と自由な生活の制限につながる」などとして懸念の声が相次いだ。

 立憲民主、国民民主、社民の3党が推薦する広島選挙区の無所属新人(52)は、時の政権による恣意(しい)的な運用を危惧。「選挙が行われずに議員任期を延長し、政権維持を図ることができる。独裁的な権限を政府に付与することは民主主義を弱体化する」と反対理由を説明した。

(2022年7月3日朝刊掲載)

2022参院選 中国地方の候補者 憲法アンケート <下> 合区解消・教育 賛成上回る

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