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核先制不使用に言及 NPT会議 初の最終文書案

 米ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は22日、初めて最終文書案をまとめた。主要3委員会の素案を統合、精査し、核軍縮で33項目の合意事項を明記。核兵器使用のリスクは「冷戦終結後最も高い」とし、核兵器保有国による「先制不使用」宣言や「消極的安全保障」の強化を促す。ただ、ウクライナ南部ザポロジエ原発の扱いなどを含め対立点が残り、採択は見通せていない。(ニューヨーク発 小林可奈)

 合意事項の初めに、被爆77年に触れて「核兵器が再び使われてはならない」と確認。先制不使用のほか、保有国が非保有国を核攻撃しない消極的安全保障に法的拘束力を持たせる交渉の必要性を掲げた。2015年の前回会議から核軍縮の進展がない点に「深い懸念」も表明。これらは第1委員会(核軍縮)の素案再改定版にあった34項目の「約束」などを反映した。

 ほかには、核兵器を全面的に違法化した核兵器禁止条約に関し、昨年1月の発効など事実関係のみ記載。核兵器の非人道性を示す短期、中長期の被害に広く言及した。保有国や同盟国が抑止力の低下などを理由に反発する内容を含む一方、非保有国側にも核軍縮の数値目標が欠けている点などに根強い不満がある。

 核不拡散の分野では、ザポロジエ原発について、占拠するロシアを名指しして「ウクライナ当局による管理復活」を要求。ウクライナの原発を巡っては、原子力の平和利用の観点でも「深刻な懸念」を示した。NPTが核兵器保有の特権を認める五大国の一つでもあるロシアの反発が、引き続き見込まれる。

 また、03年にNPTの脱退を表明した北朝鮮に対しては、核実験を禁止し、核兵器を放棄するよう警告。15年の前回会議の決裂の要因となった中東問題に絡んで、大量破壊兵器のない地帯の実現をうたう「中東決議」の履行を盛り込んでいる。

 会期最終日は26日。加盟各国・地域は最終文書案を基に討議を進め、修正などで合意点を探ることになる。

(2022年8月24日朝刊掲載)

[NPT再検討会議2022] 140ヵ国・地域が共同声明 核兵器の非人道性を訴え

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