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[NPT再検討会議2022] 「核先制不使用」を削除 最終文書案改定 露名指し回避

 米ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は25日、最終文書案を改定した。素案にあった、核兵器保有国に「先制不使用」宣言を促す文言を削除。ウクライナ南部ザポロジエ原発の管理を巡りロシアを名指ししての表現も避けた。ただ保有国、非保有国ともに不満を残す内容で、最終日の26日に採択できるかどうかは不透明な情勢だ。(ニューヨーク発 小林可奈)

 先制不使用宣言は第1委員会(核軍縮)の補助機関が素案で提起し、22日付の当初の最終文書案まで残っていたが、交渉の最終局面で削られた。保有国や同盟国が安全保障への影響を理由に嫌ってきた政策で、専門家たちは合意事項に含むのを困難視していた。

 一方、核兵器廃絶が核の脅威に対する「絶対的保障」と再確認。保有国が非保有国を核攻撃しない「消極的安全保障」に法的拘束力を求める交渉の必要性は引き続き指摘した。

 核兵器を全面的に違法化した核兵器禁止条約に関しては、昨年1月の発効など事実関係の記載を維持。禁止条約の推進国は、NPTと補い合う関係などの意義付けを求めていた。核兵器の使用がもたらす人道的な影響には懸念を表明し、短期、中長期の幅広い被害に言及している。

 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて焦点の一つになっていたザポロジエ原発の安全性に関しては「深刻な懸念」を示しつつ、当初案にあった「ウクライナ当局による管理復活」に絡んで、ロシアを名指しする形は回避。ロシアの猛反発を踏まえたとみられる。

 再検討会議は25日、改定版を基に討議。2015年の前回は最終文書を採択できておらず、2回連続の決裂を回避できるか、最終盤まで各国の激しい駆け引きが見込まれる。

(2022年8月26日朝刊掲載)

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