×

社説・コラム

『記者のつぶやき』 真正面外交こそ近道

 岸田文雄首相が台風14号の列島縦断中に踏み切った今回の訪米。「核兵器のない世界」への取り組みや国連改革などを力強く語る場面が印象に残った。「リーダーシップを発揮する」「私が先頭に立つ」などのフレーズが象徴する。

 対照的に、肝心の外交では煮え切らない姿勢が気になった。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と着座で約30分向き合いながら、正式な会談ではなく「懇談」と発表。22日の記者会見でも「実務的な雰囲気だった」と、両国トップによる面会には似つかわしくない表現を用いた。

 安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る対応で内閣支持率は急落した。日本国内の保守層をつなぎ留める配慮なら、行き過ぎではないだろうか。信念に基づく真正面からの外交こそ首相の言う「信頼回復」への近道のはずだ。(樋口浩二)

(2022年9月24日朝刊掲載)

核軍縮 広島サミットへ 国連総会出席 首相 帰国の途

年別アーカイブ