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[2023広島サミット] 交通総量半減目標 連携して協力/混雑懸念

事業者・市民 受け止め

 来年5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ、広島県内の高速道と市中心部の交通総量を半減する目標が示された15日、広島県内の交通・運輸事業者は混雑緩和策に取り組む考えを示した。一方、市民にはマイカー利用の自粛による不便や公共交通機関の混雑を心配する声もあった。(小川満久、菊池諒、宮野史康、久保友美恵)

 交通総量抑制対策推進会議を構成する38団体のうち、15団体が交通・運輸関連。西日本高速道路中国支社(安佐南区)の真(さな)伸行支社長は「県警などと連携して抑制に協力したい」と強調した。広島高速道路公社(東区)も今後、県警と具体的な取り組みを調整する考えだ。

 この日の会合では、マイカーの利用自粛などの重点項目も確認した。出席した県タクシー協会(西区)の坂本信哉事務局長は「市中心部での流し営業の抑制や迂回(うかい)ルートの設定などできる限りの協力を呼びかける」との考えを示した。

 市民からは懸念の声も聞かれた。市身体障害者福祉団体連合会の向井助三会長(82)=佐伯区=は「電車やバスに介助がないと乗れない人もいる。マイカーに乗らざるを得ない人への配慮を」と求める。路面電車で通勤している西区の派遣社員松浦真之さん(37)は「朝夕は人が多いのに、これ以上混雑すると思うとげんなり。早めに家を出ないといけないかも」と困惑した。

 広島電鉄(中区)の山本隆太総務課長は「可能な範囲でバス、電車の柔軟な運行をしたい」と語った。

 広島サミットは都市部での開催となり、物流や出勤など企業活動にも影響が及びかねない。県トラック協会(東区)の森井茂人専務理事は「交通規制などがあれば全面的に協力する」としつつ「物流を滞らせないためには荷主の協力が不可欠。事業者や県民へも丁寧に説明して」と推進会議に求めた。

 通学にも支障が出る可能性がある。県教委高校教育指導課は「公共交通に規制があれば、登下校に影響すると予測している。ただ、各校の立地などで影響は異なるため、詳細が分かってから対応を考えたい」と受け止めた。

 主会場候補のグランドプリンスホテル広島(南区)の近くにある市立広島特別支援学校は児童、生徒の多くがバス通学。市教委総務課は「どのような対応が必要か、推進会議と調整して判断する」と説明した。

バス半額・工事休止も 16年・伊勢志摩サミット

 2016年5月に三重県志摩市を主会場に開かれた伊勢志摩サミットでも、官民で交通総量の抑制に取り組んだ。路線バスの運賃半額や公共工事の休止などの取り組みも展開した。

 15年11月に三重県警が中心となって「交通対策推進ワーキンググループ」を設置。三重県の官民でつくる県民会議と連携して16年3月から、5月25~28日の交通規制を予告する看板を道路沿いに設置し、マイカー利用の自粛や公共交通機関の利用を呼びかけた。

 期間中、県警のホームページに交通規制が想定されるおおむねの時間帯を各日の前日に掲載。現場では警察官が迂回路へ誘導した。

 県民会議は県バス協会や乗り合いバス事業者と連携し、普段は毎週水曜の「みえエコ通勤デー」を期間中に特別実施した。車やバイクでの通勤を減らして二酸化炭素(CO₂)排出削減を目指す取り組みで、事前に申し込んだ人を対象に県内の路線バスの運賃を半額にした。

 県は道路混雑の緩和とテロ対策のため、県発注の全工事を5月20~28日に休止するよう建設業界に要請。主会場のホテルがある志摩市賢島周辺では、テロ対策などのため電車やバスなどが一部運休になった。(榎本直樹)

(2022年12月16日朝刊掲載)

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