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放影研移転費計上 地元 前進に期待の声

 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)を広島大霞キャンパス(南区)へ移転する事業費を政府が2023年度予算案に盛り込んだ23日、関係者は前進を歓迎した。大学との連携で、被爆者医療や放射線研究の発展に期待を寄せる声が上がった。

 放影研は6月に移転候補地を広島大霞キャンパスに絞り込んでいた。金岡里充(さとみち)事務局長は「大変うれしい。研究を進める上で大学の近くは大きな利点。大学と連携を深め、後継者の育成にもつなげたい」と喜んだ。

 放影研を迎える形になる広島大の越智光夫学長も「被爆地でしかできない、被爆地だからこそすべき放射線研究に多大なメリットがある」と強調。放影研との共同研究を後押しし、大学病院と一緒に被爆者医療を向上させたい考えだ。

 「一日も早い実現に取り組んできたので喜ばしい」。広島市の岩崎学・保健医療担当局長はこう受け止めた。ただ、約30年前にも広島大工学部跡地(中区)への移転案が浮上したが、米政府が財政難を理由に予算を確保できず、頓挫した経緯がある。「今回は順調に進むと思っているが、今後のスケジュールを注視したい」と述べた。

 市は比治山公園一帯を「平和の丘」に再整備する構想を掲げている。放影研の移転が実現すれば跡地を「平和・芸術文化ゾーン」としてイベント広場やレストランを設ける方針でいる。(川上裕、小林可奈)

<ABCC/放影研の移転を巡る主な動き>

1945年8月 米軍が広島・長崎に原爆投下
  47年3月 広島市の広島赤十字病院内に原爆傷害調査委員会(ABCC)が開設
  50年11月 広島ABCCが比治山公園に移転開始
  75年4月 日米共同運営方式の財団法人放射線影響研究所が発足
  86年   市が広島大工学部跡地(中区)を移転先として先行取得
  93年   放影研が新施設の建設計画をまとめる。米国側が財政難を理由に難色を
        示し、議論は凍結状態に
2006年10月 被爆医療関連施設懇話会が、市中心部への移転を柱とする地元要望を
         まとめる
  16年11月 市が市総合健康センター(中区)への移転案を示す
  19年6月 市総合健康センターへの移転を「可能」とする委託調査の結果が判明
  20年11月 新たな候補地として広島大霞キャンパス(南区)が浮上したことが判
         明
  22年6月 候補地を広島大霞キャンパスに絞り込み
  22年12月 日本政府が放影研の移転に向けた事業費を2023年度予算案に計上

(2022年12月24日朝刊掲載)

放影研移転 25年度目標 厚労省が事業費計上

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