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放影研 霞キャンパスに新施設 「人類の健康に貢献」 広島大越智学長 共同研究に期待

 日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(放影研、広島市南区)の広島大霞キャンパス(南区)への移転で、27日に中国新聞の単独インタビューに応じた越智光夫学長(70)は「共同研究を医療につなげて人類の健康向上に貢献したい」と意欲を示した。(小林可奈)

  ―放影研からの移転申し入れへの対応は。
 放影研から正式に依頼があったので、26日に大学の経営協議会を経て、役員会で承認した。大学として移転受け入れを正式に決定した。すでに土地と建物についての計画がある。

  ―具体的には。
 一定の賃料をもらい、放影研に敷地を貸す形になると思う。(産学官の共同研究施設の)「ひろしま医工連携・先進医療イノベーション拠点棟」を壊し、放影研と広島大が10階建ての施設を新築する。1階に広島大も入り、放影研と共同で使う。

  ―放影研がキャンパス内に入るメリットは。
 広島大は平和を希求する国際的な教育研究機関だ。放影研も平和目的の下に、放射線が及ぼす医学的な影響を調査研究している。二つが連携強化することで新たな共同研究をできる。放影研には医療部門がない。大学と一緒になることで、1足す1が3にも4にもなる。

  ―どのような共同研究を期待できますか。
 広島大にはゲノム科学や遺伝学、がん研究など幅広い先端分野の研究がある。放影研には統計学や疫学、放射線生物学のよりすぐりの研究者がいる。教育研究や医療面で非常に大きな相乗効果を生む。広島大原爆放射線医科学研究所(原医研、南区)には白血病を中心とした血液内科の部門もあるので、新たな治療方法の開発に結びつく共同研究もできるのではないか。

放射線影響研究所(放影研)
 原爆放射線の長期的な影響を調査するため、1947年に設立された原爆傷害調査委員会(ABCC)が前身。広島市南区比治山公園にあり、75年に放影研に改組した。移転を巡っては、広島市などが長年要望。放影研は2022年6月に移転候補地を広島大霞キャンパス(南区)に絞り込み、23年1月18日に霞キャンパスへの移転方針を正式に決め、広島大に申し入れた。政府は23年度予算案に移転に向けた事業費を盛り込んでいる。

(2023年1月28日朝刊掲載)

放影研 10階建て新施設 移転先 広島大霞に建設へ

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