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[広島サミット5・19~21] 首相インタビュー 詳報 「平和への発信 広島でこそ」

 岸田文雄首相は12日、官邸で中国新聞のインタビューに応じ、19~21日に被爆地広島で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)への意気込みを語った。(中川雅晴、山本庸平)

 
【被爆地開催の意義】

  ―広島サミットまで1週間になりました。
 原爆による壊滅的な被害を受け、見事復興を遂げ、世界の平和を希求する広島の地で、G7首脳が集まって対話する意味は大変大きい。今、広島ほど平和へのコミットメント(関与)を示すのにふさわしい場所はない。

 ロシアによるウクライナ侵略を受け、国際社会は歴史的な転換点にあると言われる。力による一方的な現状変更、あるいはロシアのような核兵器による威嚇、まして使用は断固として拒否する。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜く。こうした強い意志を広島から示したい。

 
【ウクライナ情勢への対応】

  ―ロシアによるウクライナ侵攻の終結に向け、どんな議論を進める考えですか。
 長期化している中にあって、一日も早く侵略を終わらせなければならない。G7として、ロシアに対する強い制裁とウクライナに対する強力な支援の継続を示すことが大事だ。ウクライナに対する揺るぎない連帯を確認する場にすることは重要だと思っている。

 
【核軍縮・不拡散で目指す成果】

  ―核軍縮・不拡散についてどう議論し、成果文書に何を盛り込む考えですか。
 国際的な安全保障環境が厳しくなる中、核軍縮を巡る国際社会の分断が指摘されている。ロシアによる核兵器の威嚇が懸念され、核兵器のない世界を目指すという道のりは一層厳しいものになっている。だからこそ、被爆地で開かれるサミットで明確なメッセージを出し、核兵器のない世界を目指すという機運を再び盛り上げる場にしたい。

 G7各国と共に現実的、実践的な方向性をしっかり打ち出していかなければならない。昨年、私はヒロシマ・アクション・プランを核拡散防止条約(NPT)運用検討会議で明らかにした。核兵器の不使用の歴史をないがしろにしてはならない。核兵器の数を減らすためにFMCT(兵器用核分裂性物質生産禁止条約)や、CTBT(包括的核実験禁止条約)の動きを改めて思い返す必要がある。そのための信頼の土台として透明性を核兵器国はしっかり示してもらわないといけない。

 4月に長野県軽井沢町であったG7外相会合では、ヒロシマ・アクション・プランの考え方が各国から評価された。それをベースにして、発信のありようを考えていきたい。ただ、具体的にどういった表現にするかは細かい文言の問題も含め、ぎりぎりまで調整が続くと思っている。

  ―各国首脳には、原爆資料館(広島市中区)の視察や被爆者との面会で何を感じてもらいたいですか。
 あらゆる取り組みにおいて原点となるのが被爆の実相に触れてもらうことだ。世界に被爆の実相をしっかり伝えていく。サミットのさまざまな行程について工夫したい。原爆資料館への訪問も含めてしっかり調整したい。

 
【地球規模課題の対応】

  ―気候変動やジェンダーなど地球規模の課題についてどう議論を進めますか。
 エネルギーや食料安全保障、気候変動、保健、開発といった地球規模の課題についても議論を深めなければならない。課題の解決に向けて議論を進めると同時にグローバルサウスといわれる国々も含めた国際社会の幅広いパートナーと協力していくことが重要だ。G7としてどんな貢献や協力ができるかを議論したい。

  ―バイデン米大統領の訪日はどうなりますか。
 これはもう米国の判断だ。今のところ日本は、お迎えすることを予定している。

(2023年5月13日朝刊掲載)

[広島サミット5・19~21] 「核不使用・削減 共に訴える」 開催まで1週間 岸田首相に聞く

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