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在日被爆者と尹大統領面会 「同胞の痛み 顔を背けない」 訪韓の38人ねぎらう

 韓国政府の招きで広島から現地を訪れている在日韓国人被爆者と被爆2世たち38人は29日、ソウル市内で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と面会した。尹氏は「政府は同胞の皆さんの痛みから二度と顔を背けることをしない」と述べ、被爆者の長年の辛苦をねぎらった。(ソウル発 小林可奈)

 面会は金建希(キム・ゴンヒ)夫人も交え、旧大統領府「青瓦台」で昼食を挟み約2時間。在韓被爆者たち約40人も同席した。

 尹氏は、被爆から78年後の招待となったことを「あまりに遅れて申し訳ない」と述べた。「植民地時代、異郷暮らしで受けた被害だっただけに悲しみと苦痛は一層大きかったろう」と思いを寄せた。

 尹氏は、5月に先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれた際に現職大統領として初めて広島入りし、岸田文雄首相と平和記念公園(中区)の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れたことにも言及。「平和と繁栄の未来を共に築いていくことを誓った」と振り返った。

 続いて、被爆2世で韓国原爆被害者対策特別委員会の権俊五(クォン・ジュノ)委員長(74)=広島市西区=があいさつ。招待に謝意を述べた上で、北朝鮮の核開発や米国の「核の傘」に依存する韓国の安全保障政策を念頭に「核兵器は悪夢だ。とても悲しくつらい」と強調。核兵器なき世界の実現に向けた韓国政府の努力を願った。

 今回の招待は尹氏の意向で実現した。一行は10月3日まで滞在予定。

(2023年9月30日朝刊掲載)

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