×

ニュース

「苦労分かってくれた」 在日被爆者 口々に喜び

 「感無量」「感謝、感激」―。韓国の尹錫悦大統領と2時間にわたり昼食会で面会した広島の在日韓国人被爆者たちは29日、口々に喜びを語った。被爆後の苦しみに祖国の大統領が言及するのを聞き、心を震わせた。(ソウル発 小林可奈)

 4歳の時に爆心地から2キロで被爆した金花子(キム・ファジャ)さん(83)=呉市=は尹氏に、被爆者、在日韓国人としていじめられ苦しんだ日々の思いを明かした。白血病で亡くなり、原爆の子の像のモデルとなった佐々木禎子さんについても語ったという。「大統領の胸に響いたのでは。直接伝えることができ、言葉が出ないほど感動した」

 「祖国で面会でき、感動もひとしおだ」と話したのは権養伯(クォン・ヤンベク)さん(79)=東広島市。尹氏が5月に平和記念公園内の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れた際に立ち会った。8歳の時に爆心地から2・1キロで被爆した姜日奉(カン・イルボン)さん(86)=広島市東区=も「被爆者の苦労を分かってくれた」と喜んだ。

 昼食会では韓国在住の被爆者も席を並べた。日本の敗戦後、朝鮮半島に帰還したが日韓両国から手を差し伸べられず、援護の枠外に置かれる苦しみを強いられた。韓国原爆被害者協会の沈鎮泰(シム・ジンテ)・陜川支部長(80)は、在日韓国人被爆者の苦労にも思いをはせ「痛みを分かち合いたい」と語った。

(2023年9月30日朝刊掲載)

在日被爆者と尹大統領面会 「同胞の痛み 顔を背けない」 訪韓の38人ねぎらう

年別アーカイブ