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1号棟 平和学習拠点に 被服支廠 広島県活用イメージ 1棟 市に譲渡案も

 国重要文化財(重文)に指定される最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(広島市南区)を巡り、広島県が全4棟のうち1号棟を平和学習の拠点、2~4号棟を文化芸術や観光の拠点とする将来的な活用イメージをまとめたことが5日、複数の関係者への取材で分かった。県所有の3棟のうち1棟を市に無償譲渡する案も出ている。

 被服支廠は県が1~3号棟、国が4号棟を所有している。活用イメージによると、多くの被爆者が救護された1号棟は「広島の自然や歴史、平和を学べる拠点」とし、原爆の悲惨さを伝える役割を担う見通し。被爆の実態に触れる展示室やライブラリー、収蔵庫などを例示した。

 2~4号棟については県民たちの交流促進を目指す「文化や芸術、生涯学習の拠点」、「国内外の人々が広島を体感するための拠点」の2案を挙げた。図書館やキッズスペース、ホテル、コンベンション施設などを想定している。

 また、全4棟のうち1棟は市が活用する方向で県市の協議が始まっており、県による無償譲渡案も浮上しているという。

 県は重文指定に向けた文化庁との調整で、建物の活用方針を定める必要があるとの指摘を受けていた。このため国、市とつくる研究会でイメージを整理し、文化庁に示したという。国の文化審議会は11月下旬、イメージを踏まえ、重文に指定するよう文部科学相に答申した。

 重文指定は2024年1~2月の見通し。県は文化庁の補助金を活用して24年度に1~3号棟の耐震化に着手したい考えで、国も4号棟の耐震工事を進める。県は引き続き、国、市との研究会で具体的な活用策を検討する。(河野揚)

(2023年12月6日朝刊掲載)

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