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核なき世界へ外交重視 国際賢人会議閉幕 首相「指導力発揮」

 核兵器廃絶への道筋を保有国と非保有国の有識者たちが議論する「国際賢人会議」の第3回会合は9日、被爆地長崎で2日間の日程を終えた。核を巡る国際情勢が厳しさを増す今こそ「外交交渉を活性化させることが重要」との意見で一致。出席した岸田文雄首相に対し、外交面で指導力の発揮を求めた。

 長崎市のコンベンション施設「出島メッセ長崎」で閉会セッションがあり、座長を務める熊本県立大の白石隆理事長が合意事項を説明した。長崎を最後の被爆地にする▽核使用の規範が揺らぐ中、外交を重視する―の2点で全委員が合意したといい、「岸田首相しかできない指導力を発揮してほしい」と述べた。

 会議を創設した首相は昨年12月の広島市での第1回会合に続き、閉会セッションに出席した。かねて掲げる「核兵器のない世界」に向け、「国際賢人会議の英知を得つつ、私自身が強いリーダーシップを発揮していく決意だ」と強調。核軍縮への逆境下でも「国際社会の機運を高めていくことが何より求められる」と訴えた。

 討議は大半が非公開で、地元の有識者や英国の上院議員を含む16人が意見を交わした。2016年に、当時外相だった岸田首相と共に広島市の平和記念公園を訪れた米国のケリー元国務長官はビデオメッセージで「各国が核抑止から脱却する一歩一歩が世界を安全にする」と呼びかけた。

 会議に先立ち首相は、被爆遺構である長崎市の旧城山国民学校の伝承に取り組む長崎原爆遺族会の本田魂会長(79)と会場内で会い、数分対話した。本田会長によると「大事な活動。支えていく」との言葉があったという。(樋口浩二)

(2023年12月10日朝刊掲載)

国際賢人会議閉幕【解説】「脱核抑止」 議論深まらず

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