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被服支廠 国重文19日指定 文化庁、耐震化へ協議

 文化庁が広島市南区の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の全4棟を19日に国の重要文化財(重文)に指定することが16日、分かった。かつて存廃に揺れた被爆の「物言わぬ証人」は、国の財政支援を受けて保存される。(樋口浩二)

 関係者によると、文化庁が指定に必要な手続きを進めており、19日に国が官報で告示する。耐震改修費の半額を国の補助金で賄えるようになる。文化庁は今後、所有者の広島県などと耐震化に向けた詳しい協議を進める。

 有識者でつくる国の文化審議会が昨年11月、旧陸軍の遺構で最古の鉄筋コンクリート建造物でもある希少性を踏まえて国の重文に指定するよう、盛山正仁文部科学相に答申していた。

 保存・活用を一貫して訴えてきた市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」の多賀俊介副代表(74)=西区=は取材に「待ちに待った日が来る。被服支廠のまれな歴史を多くの人に伝える活用策を行政と一緒に考えていきたい」と話した。

旧陸軍被服支廠
 旧陸軍の軍服や軍靴を作っていた施設。1914年の完成で爆心地の南東2・7キロにあり、被爆後は臨時救護所となった。13棟のうち4棟がL字形に残り、広島県が1~3号棟、国が4号棟を所有している。国の文化審議会が2023年11月、全4棟を国重要文化財に指定するよう文部科学相に答申した。

(2024年1月17日朝刊掲載)

旧陸軍被服支廠 3棟保存を正式表明 広島県 耐震化24年度着工予定

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