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被服支廠 国重文に指定 耐震改修の費用 補助金活用可能

 文化庁は19日、広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の全4棟を国重要文化財(重文)に指定した。所有する広島県などが2024年度に始める耐震改修で、費用の半額を文化庁の補助金で賄えるようになる。一時は解体案も浮上した被爆建物は、保存や活用へ本格的に動き始める。(樋口浩二)

 文化庁による4棟の重文指定を、国が官報で告示した。3棟を所有する広島県と1棟を持つ中国財務局はいずれも24年度、耐震改修に着手する方針。文化庁は両者と建物としての文化的価値を損なわない改修方法などを協議する。

 国の文化審議会が昨年11月、旧陸軍の遺構で最古級の鉄筋コンクリート構造物でもある希少さを踏まえ、重文に指定するよう盛山正仁文部科学相に答申していた。

 県は国所有分も含む将来的な活用イメージで、1号棟を平和学習拠点、2~4号棟を地域住民の交流や宿泊・観光拠点と位置付けている。1号棟は広島市へ無償譲渡する方向で調整しており、県・市が具体的な活用策をどう定めるかが今後の焦点となる。

旧陸軍被服支廠
 旧陸軍の軍服や軍靴を作っていた施設。1914年の完成で爆心地の南東2・7キロにあり、被爆後は臨時救護所となった。13棟のうち4棟がL字形に残り、広島県が1~3号棟、国が4号棟を所有する。県の3棟の耐震化費用は資材高騰などで、2020年12月に示した想定の1・7倍の29億円台に膨らむ見通し。

(2024年1月20日朝刊掲載)

被服支廠 国重文に指定 有効利用に期待の声

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